はじめに

 本格的な情報化社会が到来し、情報技術は知らず知らずのうち、我々の生活に密着している一方、情報技術の概念がブラックボックス化し、特定の技術者以外はその概念を理解することが難しくなってきています。
 情報技術、IT、ハイテクと聞くと、どうしても「関係したくない」「簡単に使えればいいや」と思う方も多いことと思います。
 実際に、地域住民・保護者・一般社会人にも「どうせ情報技術は難しい」「コンピューターは苦手だ」という意識が蔓延しており、英語コンプレックスにも似た状況も散見されます。

 しかし、使う側にも「その技術は本当に必要なのか」「安全な技術なのか」、言い換えれば「我々にとって便利なモノなのか?」「流行モノとして買わされただけなのか?」「使い方によっては害を及ぼす可能性はないのか?」を見極める判断力も必要ではないでしょうか。

 最近は、IT機器の使用による、被害・弊害・事件が多発しており、我々IT技術の使用者も、そういった結果責任をIT機器の存在のみに押し付けているばかりでは、その対応策を見誤ることになりかねません。特に「子供とITの関係」は深刻な状況であると言えます。

 反面、使う人があれば、作る人も必要です。 例えば、学校教育等において情報技術教育を取り入れる取り組みが行われていますが、真の意味での情報教育を行うことができる教員は限られており、その内容は「プログラミング言語」であったり「PC(=電気製品)の操作方法」であったりすることが多いようです。モラル教育も然りです。

 同様の問題として、理数系の授業時間数が減っていることや、子ども達の理科離れ、少子化などにより、将来の科学者減少を危ぶむ声もあります。
 これは「実際に自然科学を体験・体感する機会」が減ってきていることも大きく影響しているのではないでしょうか。つまり、理科離れではなく「実感離れ」とも言えそうです。

 更には、このような問題を保護者や地域の方々と共に考え、乗り越えていくべき場所の一つである学校(幼稚園)内自体が安全であるとは言いかねる事案も多く見受けられます。学校だけに全てを押し付ける風潮にも大きな問題がありますが、「学校(幼稚園)内自体が安全ではない」というのも大変大きな問題です。

 また、最近問題になっている情報の漏洩や個人情報保護にかかわる過剰な反応も、その現象ばかりがクローズアップされ、肝心な「情報保護に必要な対応策や便利で安心安全な利活用法」に関する根本的な論議は置き去りの状態であると言えます。
 情報が電子化されれば取扱も簡単になりますが、持ち出し(漏洩)も同様に簡単になります。
それを避けるためには、一昔前のように紙の遣り取りに戻すか、PCを絶対ネットワークに繋がない(単体で使用する)という方法も考えられますが、それではあまりに現実離れしていて、現実に則していない(論議が前に進まない)と言えます。

 このような様々な問題について、本会では、地域住民や自治体・地場企業・生徒及び保護者・教育機関・大学・研究所等々と連携しつつ、「IT教育・自然科学体験・子育て支援・過疎高齢地域への対応・中心市街地活性化・少子化と国際交流・教育費の効率化・新たな学習到達度の調査手法・個人情報の保護」等々といった、決して技術ありきではない生活に根づいた側面から、我々一般市民が「ITという道具」を便利に・安全に・安心して活用するために必要な基礎知識の教育・啓蒙・環境整備等を行うと同時に、今後国際競争にさらされる子供たちやそれを支える方々が「苦手意識をもたず」「興味を持ちながら」「安全安心に」情報技術や科学に触れることができるような基盤作りに寄与し貢献すべく、1999年10月に本会を設立致しました。

 今後とも皆様の暖かいご支援・ご指導を賜りますよう、何卒宜しくお願い申し上げます。


Copyright (C) Information Technology Promotion Consortium. All rights reserved.